掲示板で割り切り募集
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うちのオヤジは気前がいい男だった。会社の同僚を家に呼んではメシを食わせていた上にお小遣いと称してお金をあげていた。うちには母親が嫁入り時に持ってきたピアノがあったのだが、それさえも「いいピアノですね。娘にピアノ習わせたいんですよ」と同僚が言えば「いいよ、やるよ。持って行けよ」とあげてしまうような豪放磊落なところがあった。
しかし、それはすべて外面だ。そんな感じで周りにいい顔ばかりしていたしわ寄せは家計をひっ迫させており、気づいた時には借金生活だった。しかし、借金を背負ってもなお、父親は外面の良さを崩そうとはしなかった。その結果、一家は離散した。
母親とともに家を出てもう10年以上経つ。母親も僕も働いており、慎ましやかながらも生活には不自由していない。むしろ金食い虫だった父親のもとを離れて、母親は若返ったかのように生き生きしており、近々、職場で知り合った男性と再婚する予定だ。
父親とは全く連絡を取っておらず、今は何をしているかはわからない。肉親とは言え、家のお金をすべて他人にあげてしまう父親は僕にとっては憎悪の対象であり、その行く末は全然気にしていない。だが、そんな父親の血が僕にも流れていることを自覚する場面がある。
掲示板で割り切り募集している女の子と遊ぶことがよくある。もちろん、お金での性行為が目的ではあるが、女の子にお金をあげることに喜びを感じている僕もいるのだ。約束の額よりちょっと上乗せしてあげると、彼女たちはとてもうれしそうな顔をする。その表情がどんな性行為よりも僕を満たすのである。そんなところで父親の血筋を感じてしまうのだ。
昨日もまた、掲示板で割り切り募集している女の子と遊んで、あまりに喜んでくれるのでこちらもうれしくなってどんどんお金をあげてしまった。女の子と別れて、空っぽになった財布を眺めつつ、明日からのメシはどうしようと途方に暮れた。
そんな僕に母親は何も言わずにそっとお金を財布に入れてくれた。あの父親にしてこの母親ありだ。だが、この母親の甘さが父親をあんな風にしてしまったのだろうなと思うと、ほろ苦さしか感じない。
父親の二の舞にはなるまいと猛省しつつ、それでも次の給料が入ったら、また女の子にお金をあげちゃうのだろうな、と、僕は自分に流れている父親の血を恨んだ。
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