『魔法少女ホロウィッチ!』第56話

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ある朝。
よく寝たからか、元気いっぱいで早朝の散歩に向かうちびみこ。
しかし、あるべき場所にお散歩スイングがありません。
スイングは燃やされてしまった(第54話)ので、もうこの世にはなくなってしまったようです。

晴れる道としては、てっきり象徴的なイメージだと思っていたのですが、まさか本物を燃やされていたとは……。
そのステッキを使えなかったことも含め、ちびみこにとっては、もはやほぼ災難といってしまえるくらいの仕打ちです。
スイングがなくなったので、代わりのスイングを用意しようとするみこ。
しかし、ちびみこがそれを拒絶。

「ママと一緒に選んだのに。あれでずっとお散歩してきたのに……あたし、あのリードじゃなきゃ嫌!」
「そんなこと言ったって、ないんだからしょうがないでしょ」

ちびみこにとっては、あれは文字どおり絆のスイング(第54話)。
だからこそ灰となり、失われてしまったのは、運命の皮肉としかいいようがありません。
「いつものがいいの。あれじゃないとダメ!」
「わがまま言わないの!」
「絶対嫌! 絶対嫌! あれじゃなきゃ絶対お散歩しない!」
「じゃあ、今日のお散歩は中止!」

かくして、なかよしな親子の、ケンカが始まります。
その様子に最初に気付くのは、もちろんそらとロボ子さん。

日課の散歩に行かないことはもちろん、ふたりの様子がいつもと違うことも、きっちりキャッチします。
それを見て、明らかに動揺するそらとつとめて冷静なロボ子さん……。

その後、あくあが大福を連れてやってきます。
ドッグランで談笑するふたりを気にするあまり、壁に激突するちびみこですが……ケンカ続行中。
そうしていると、どこかの森のどこかでコラプサーが出現。
その気配だけでなく咆哮により、みこたちの知るところになります。
「ちびみこ、行くよ! ケンカはいったん終わり! コラプサーを止めよう!」
「うん!」

満面の笑顔で返事するちびみこ。
文脈的に、みこに頼られている(役に立てる)状況なので、嬉しいのでしょうね。
そして、現場に到着。
待ち構えていたのは、巨大な番犬(宝石付き)のコラプサーでした。
コラプサーの浄化のため、変身。
あまりに特徴的な外見のため、すぐさま番犬と気付くふたりと、番犬を知らないちびみこ。
そして、これは何かしらのヒントなのではないかという気もします。
みこが知っていて当然と思うことも、ちびみこにとってはそうではないという……。
いつもどおり、勝ち気で無鉄砲なちびみこですが、そこにコラプサーの咆哮が!
それを受けた途端、ちびみこの様子が一変します。
コラプサーが飛びかかってきますが、ちびみこは足が震えて動けません。
まさに、『驚き竦み上がっている!』という状態異常にかかってしまったようです。
バーチャル娘としての本能が、番犬を恐れているということのようです。
そうはいっても、目の前にコラプサーはいるわけで……どうするか。
まず、コラプサーを言葉でなだめようとしますが、いまの段階でそれは通じず。
攻撃され始めたので、走り回って様子をうかがいます。
安全なところへと言われていたあくあは、ちびみこに撤退を促します。
しかし、ちびみこは……明らかに怯え、震えながらも、それを拒否します。

「やだ! やだやだやだ! ママと一緒にいたい! ホロウィッチステッキ!」
「えっ……なんで? どうして使えないの?」

そんな状況でも、みこの役に立つためホロウィッチステッキを構えるちびみこ。
しかし、無情にもステッキは何の反応も示しません。

さらに悪いことに、コラプサーがちびみこの存在に気付き、突撃。

完全に恐怖に当てられたからか、手に持ったステッキが消滅。
動けず、武器も消え、絶体絶命のピンチ!

そこに、みこが文字どおり滑り込み、間に割って入ります。
そのまま突進を受け、ふたりとも吹っ飛ばされ……ダメージで変身が解けてしまいます。
「ペニーワイズは死んだ
変身解除されたみこ親子の下に埋もれてたようだ」
かーなーしーみのー♪
あああああぁぁぁ…
バザールでござーる♪
バリアはどうしたという感じではありますが、使っている余裕もなかったということなのでしょう。
そして、まさかこんなに早い段階で、変身強制解除の大ピンチが訪れるとは……!

もはや残されたのはあくあのみ……絶体絶命は続きます。
しかしそのとき、コラプサーもまた苦しみ始めます。
「クッ…!もういい今日は帰ってやらあ!」
いずれにせよ、何かに苦しんだコラプサーは、一目散に退場して行きました。

運よく命を拾った一行。
あくあが状況を考察する前に、みこがちびみこを責める声がそれを止めます。
「ちびみこ、下がっててって言ったでしょ! どうして出てきたの!?」
「だって……だって、ちびみこも、ママと一緒に!」
「全部一緒は無理なの! 怖くて震えてたでしょ!?」
「ちびみこだってホロウィッチだよ!」
「危ないときは下がってて!」
頭ごなしに叱っているように見えますが、これもちびみこを想えばこそ。
言い換えると、主従であって対等な関係ではないともいえます。

そんなふたりに、割って入るあくあ。
仲裁は無理でも、不毛な言い争いは止めてくれます。

「ふたりとも落ち着いて。言い合いしてる場合じゃない」
「コラプサーは?」
「山の奥に走っていったよ」

これでひとまず落ち着いたのか、いったん手当てしてから帰ることに。
沈痛な空気ですが、全員無事なのはせめてもの救いといえます。

「あの大きなコラプサーが隠れられる場所は限られている。探してみるよ、何かあったら知らせるから」
「うん、ありがと。ちびみこ、おうち入るよ。ちびみこ」

返事もなく、とぼとぼと歩いていくちびみこ。
みこもあくあと別れ、それに続きます。

その夜。
ふたりで同衾するさまは今回の前半と同じですが、それは明らかに違っていて。

「ママ、ごめん……役に立てなくて、ごめん……ママ、バイバイ」
そう言い残し、ひとり家をあとにするちびみこ。
その気持ちを表すかのように、雨が降り始めました。

ひとりぼっちで雨といえば、ちびみこの産後です。
再び、今度は自らその状況に身を投じてしまったちびみこ……はたして。

To Be Continued…

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