『魔法少女ホロウィッチ!』第23話

72
前回、からくも危機を凌いだことで、当面の平穏が戻りました。
しかしみこの負った心の傷は深く、日常には戻れない様子……

その夕方、桜餅と柏餅を持参しみこの自室を訪ねるルーナ。
やさしいルーナは、少しでもみこを励まそうとしているわけですね。

しかし部屋から返事はなく、ルーナが扉を開けると……そこはもぬけの殻。
そしてルーナは机の上に例のノートが広げてあることに気付き、近づいてみると……。

『私、ホロウィッチにはなれなかったにぇ。さようなら』

みこの置き手紙。
ルーナは手に持った包みを取り落とすのも構わず、
慌ててみんなに知らせに行きます。

そのころ、みこはあくあとねぽらぽの別荘に。
呼び鈴に応じて出てきたポルカは、そこに消沈したみこがいて驚きます。
みこが事情を話そうとしますが、そこにねねも帰宅。
もう見るからに先輩大好き娘のようで、みこの帰宅を喜び抱き着きます。

明らかにみこの影響で、ホロウィッチごっこをやっていますね。
そういう影響を受けた頭の中が男の子という意味では、誰かさんと近しいものがあるかもしれません。

「おかえり!……ってことは、悪者やっつけたんだね!? 本物のホロウィッチになったんだね!?」

無邪気なねねちの言葉。
みこならやり遂げると信じて疑っていないのがわかりますが、いまのみこにはつらいでしょう。

「みこち、ねねち。ご飯が冷めるから、入って!」

みこが言い淀んでいると、家の中からラミィが中に招きます。
この段階で、表情や声色から、両親はみこの事情は概ね察している感じでしょうか。

そして夕食をともにしながら、事情を話すみこ。
この世界だと、家族に隠し事をする必要がないのがいいですね。

「そう、そんなことが……」
「なんで先輩のボトルは壊れちゃったわけ?」

「ホロウィッチボトルはね、ここから出てきたの。
きっと、みこの気持ちが形になったものだったんじゃないかな」
「でも、なくなっちゃった。強い敵に立ち向かう勇気も、ホロウィッチになる夢も」
「友達が考えてくれた作戦を信じられなくて、失敗するのが怖くて」
「だから、ホロウィッチボトルは壊れちゃったんだと思う。私……ホロウィッチになれなかった……」

ペンの消失を考えるみこ……おそらく実際もそんなところなのでしょう。
ここでシオンとマリン、クロエの作戦について、『不可能』ではなく『信じられなかった』というのが何気に重要かも。

明らかに気落ちしているソラを見かねて話を止めるお母さんですが、
ねねちは止まりません。
大好きな、絶対に負けない憧れの先輩が負けようとしているともなれば、
仕方のないことですが。

「よくない! 約束したじゃん、『絶対ホロウィッチになるにぇ』って! なんで簡単に諦めちゃうんだよ!」

簡単に諦めたわけではないのは、一目瞭然なので、きっとねねちもわかってはいるはず。
まあだからといって飲み込めというには、
ねねちはまだちょっと若すぎる感じでしょうか。

それを諫めたのはラミィ。
それでも後に退けない(退きたくない)ねねち。

「ねね、間違ってない」
「人が本気で決めたことに口を出すのは、間違ったことよ」
ラミィに怒られたねねちは、みこを茶化してその場から逃げます。
これもまあ、追い詰められたねねちならではの行動といえます。

その後は、両親に『日常』でもって包まれるみこ。
心にダメージを負っている人間には、これが一番助かるところでしょう。

そしてそのこと、ホロウィッチの基地では。
かなた(とマリン)が、豊橋に乗り込もうとしていました。
「本当に行かないの?」
「ねぇ、やっぱりいまはひとりにしておいてあげよう。
周りからわーって言われたら、みこちがきっと……」

「私はそうは思わねぇぞ。何のための仲間なんだ? 何のために、ホロウィッチはひとりじゃなくて6人なんだ?」
「なんで……なんで、ひと言相談してくれなかったんだ。みこ……」

そんなかなたをひとりで行かせるわけにもいかず、マリンがついていく様子。
マリンは豊橋市初めてだとは思うのですが、少なくともかなたを預けるには頼れる存在です。

そんなこんなで、あくあとねぽらぽの別荘に到着したかなたとマリン。
しかし運悪く、入れ違いでラミィ、あくあとともに外出した後でした。

「みこと話をさせてほしい」
「いまちょっとそこまで出かけてるの。だから……」

「こんな遅くに……」
「ここで待たせてもらっていいかしら?」

マリンは、ともすれば食ってかかりそうなかなたを片手でなだめ、
待たせてもらうことに。
おそらく、マリンがいなければ「帰ってください」
ということになっていたでしょうね……。

「たとえホロウィッチになれなくたって、みこはみこだよ。やさしくて、まっすぐで、素敵な先輩」
「いまのみことあてぃしを受け入れてあげて。お願い、あの子には少し時間が必要なの」

あくあにそう言われ、何も言えなくなるかなた。
代わりに、マリンが話を続けます。

「みこちゃんに伝えて。みんな、みこちゃんのことが大好きだって」
「必ず伝える。ありがとう」


そして翌日。
みこがいなくても、ルーナは日課の早朝ジョギングを欠かしません。
帰宅後、朝食をとるルーナ達。
書き終わったところで、かなたがそら、ロボ子さんからの緊急事態を伝えます。

みこはいないので、5人+令和プリキュアで出撃です。
その前に、先程の手紙を晴れる道に託すルーナ。

「晴れる道さん、お願いがあるのら。これ……みこちに渡してくれないのら?」
「…! …分かりました!」
晴れる道はルーナの表情を見て本気と知ると、それを快諾。
そして変身し、伊沢と対峙。
もちろん、従えるのは神主プサー
(今回この名前はまったく出てきません)。
一方そのころ、晴れる道はちびみこを連れ、
ルーナから預かった手紙を届けにみこの元へ。
てっきりみこが来たときに渡してくれという意味だと思っていたので、
この展開にはちょっとビックリです。
「私、もうホロウィッチじゃにゃいけど……何か用?」
「渡してほしいと、頼まれました」
「ルーナ達から?」
『みこちへ』
『覚えてるかな? 私が初めてホロウィッチになったとき、みこ、すっごく反対したのらね。「ルーナが傷つくなんて嫌だ」って』
『「自分がもっと強くなる。だからルーナはホロウィッチにならなくていい」そう言ってくれたのら。だから……』
『今度は、ルーナの番のら』
『神主さんのことはルーナたちに任せて』
『大丈夫。みこはホロウィッチにならなくていいのら。戦わなくていいのら。別荘でゆっくり休んで、元気になってほしいのら』
『最後にひとつだけ』
『「ホロウィッチになれなかった」なんて言わないで。だってみこは、とっくの前から、もう、ホロウィッチなのら』

ルーナからそんな言葉をもらって、涙が溢れるみこ。
「ホロウィッチなんかじゃない……ただの泣き虫だよ! 戦うのが怖くて、逃げた!」
「神主さんも、仲間も、街の人たちも、みんな見捨てて!」
「そんなホロウィッチいるわけないよ!!」

叫びを上げながら、それを書いているルーナを思い浮かべ、ハッとするみこ。
それをただ見つめる幼きちびみこは、はたして何を思うのか……。

「そんなホロウィッチ、いるわけない……」
「だけど……行かなくちゃ……」

『じゃあ、またお手紙書くね。私のホロウィッチ』

「友達が、全国の35Pが、待ってるから!」
それをはっきりと意識し、その意志が復活。
それに呼応するように、みこの胸から『ホロウィッチボトル』が飛び出します。
「夢は多分、ひとつきりじゃないんだ。たとえ見失っても、たとえ壊れても、それは何度だって生まれる」
「それが、みこちゃんの決めたことなら……さぁ行きましょう。笑って送り出してあげなきゃ」

あくラミの理解度(状況についても、みこについても)もすごいですね……。

「かっこいいよ、先輩!」
「みこちゃん、いい?」
「うん」
「行ってらっしゃい。
でも躓いたら、またいつでも帰っておいで。ご飯用意しとくから」
「うん」

家族から送り出されたところで、晴れる道が状況を説明し、最後の覚悟を問います。
みこは一瞬たじろぎますが、手のひらの中の希望を見て、力強く返事をします。

「実は状況は差し迫っています。あのコラプサーが豊田市街で暴れています。
行ってくれますか?」
「はい!」
そして、晴れる道とともに豊田市街へ。

『「ホロウィッチ」。いまのみこが口にできるような言葉じゃない。でも、後輩がそう呼んでくれるなら!』

「みんなの願いを咲かせる祈り!
『巫女』の『ホロ』!魔法少女みこ!」
そして開幕、桜パンチで神主プサーに突撃。
あの神主プサーの帽子を砕き、そのままステッキを叩き落とすことに成功。
そして間髪入れず、2発目を叩き込みます。
「みんな!」
と手を差し出すみこ。
みんなは走り、その手を取り、『ウィッチグラム準下級全力投射(フルキャスト)』を繰り出します。
浄化される神主プサー……そして、シェアリンハートは晴れる道と歩夢が逃さず回収します(おそらくこれで満タン)。
そして壊れた街は元に戻り、ボロボロの神主が投げ出されます。

その神主をかなたが受け止め、バタフライがミックスパレットの癒やしの力で回復。
かつての作戦通りですが、はたして……?

祈るような思いでそれを見守るみこたち。
注意がそちらに行っているのを好機とばかりに、伊沢が邪魔しようとしますが……。
「そうはいかねぇぞ?コイツを捕らえろ!!」
NDの声で特殊部隊が到着。
「コレでお前はしばらく牢獄生活だな!!」
キボクラ(NDch.)も煽ります。
さて神主ですが……まだ目を覚ましません。
しかしみこは、慌てたり嘆いたりせず、隊長の手を取ります。

「きっと大丈夫。信じて待っている人がいるかぎり、何度だって立ち上がれる。きっとそれが、ホロウィッチですから」
「フッ……よい言葉だ……また会えたな、みこち」
さくら神社の神主が目を覚まします。
みこも喜びの涙を流し、抱き着きます。

その後、手錠をかけられた伊沢に立ちはだかるホロウィッチたち。
再び戦いが勃発かと思われるも、踵を返し、その場を後にするみこ。
「と……トドメを刺さないのか!? じゃないと、また来るぞ!」
「また、オメーの嫌がることをしてやる! それでもいいのか!? さくらみこ!」

「構わないよ。どんなことをされても負けないくらい、
みこ、強くなるから!」
何事か言う伊沢に対し、振り返り、そう言い放つみこ。
そしてどうやら、これで伊沢の心は完全に折れ、容疑を認めた様子。

これで、伊沢は逮捕ということになるわけでしょう。その夜。
さくら神社の神主は、ひとまずホロウィッチ基地で休ませるようです。

「ホロウィッチ、強くてやさしいキャラたち。あなたが育てたのか? 晴れる道殿」
「いいえ……むしろ教えられる方です」

このふたりのこの会話もいいですね……。
間違いなく師のポジションなのですが、師も弟子に教わるという。

そして外では、みこが仲間たちに。

「みこ、未熟にぇ。でも未熟なりに前に進むにぇ。そうすればきっと、いつの日か……」
「ルーナ、かなた、マリン、シオン、クロエ、それにちびみこ。これからも、よろしくにぇ!」

そういうみこに、一歩歩み寄るルーナ。
その手には、みこのノートが。
「みこ。このノート……もう1回もらってくれるのら?」
「はい! 絶対ホロウィッチに……なるにぇー!」

みこの胸から新しいホロウィッチボトルが生まれたように、ここがまた新しいスタート地点ですね。
「やっぱり彼女は、こうでなきゃな。」
おしまい!

不用品買い取り・遺品整理のことは
十勝リユースにおまかせ下さい

- MOBI-PAGE -