ゲイとの出会い
ゲイサポ
ウチのアニキはゲイだ。そんな私はゲイを兄に持つ妹だ。
私はBL小説が大好きでタチとネコの激しい攻防にうっへっへとほくそ笑みを禁じえない腐女子ではあるが、あくまでもフィクションとして楽しんでいるだけであり、現実世界の楽しみは別にある。だから、ゲイと言うのは遥か遠い私の目に見えない世界の存在だと思っていた。
ところが、アニキがゲイだったのである。私は気づかぬうちにゲイとの出会いを果たしていたのだ。
言っておくがアニキは男だ。当たり前だが肉体的に抗いようがない。だが、ゲイだとは言え、アニキを姉だと思ったことはない。いちおう面倒見のいい良き兄だとは思っている。別にアニキも自分が女性の心を持っているとは思っていないはずだ。いわゆる性同一性障害とは違うと思う。
だから、アニキがゲイであることに私は気づかなかった。しいて言えば、アニキに全く女っ気がなかったり○木坂とか○KBではなく○ャニーズの曲や動画ばかり見ていたりした時点で察するべきだったが、単にモテないだけだろうと浅はかな私は思っていた。私にカレシが全くいないのだから、その辺は血のなせるモテなさだと思っていた。
そんなアニキの真の姿に気づいたのは、私が実家を出て一人暮らしを始めた頃だ。たまたまアニキが勤めている会社に近かったこともあり、アニキはよく会社帰りに晩メシを食いに我が家を訪れていた。
そこで私は冗談っぽく「アニキも早く嫁さん見つけろよー」と言ったら「俺はゲイだから嫁さんは無理だな」とあっさり返された。こんな場所でカミングアウトかよ!と思ったが、別にアニキは隠してはいなかったそうだ。つまり、私が鈍感だっただけらしい。
「実家にいる時、お前のBL小説を何の気なしに読んでたんだけど、ゲイとの出会いはあんな簡単なもんじゃないんだぞ」と逆に説教された。
まあ、BL小説みたいにたまたまゲイが同じクラスになったり同じ職場になったりして両想いなんてことは、そうはあるまい。それは私も痛いほどわかっている。
だが、アニキにはSNSを通じて知り合い、現在進行形で付き合っている男性はいるそうだ。BL小説とは異なりLGBTにはまだまだ偏見がある世の中、苦労しているのだろうなと思う。
「お前も大変だと思うけど、まあ自分に正直に己を貫いていればきっと相手が見つかる。だから頑張れよ」
アニキみたいに私もビアンとの出会いを果たしたいと思う・・・って、バレてますやん!!
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